
赤目四十八滝
三重の山あいにある、ひんやり緑の滝の谷。約4kmの遊歩道に名のある五つの滝、腕ほどもある大きなオオサンショウウオ、そして伊賀の忍者が修行した渓谷。暑い夏の日にこそ歩きたい場所です。
訪問を計画する日本の夏を乗りきる、地元のちょっとしたコツ。暑さと闘うのではなく、最初から暑くならない場所に歩いて入ってしまうんです。三重の山の奥、大阪から一時間ほどのところに、空気がいつもひんやり湿っていて、聞こえるのは水の音だけ、という谷があります。赤目四十八滝。「四十八」は「数えきれないほどたくさん」という昔ながらの言い回しで、実際の数ではありません。暑い午後にこれ以上の居場所はちょっと思いつきません。
緑の谷、滝づくし
遊歩道は、川に沿って谷を上っていく一本道。片道およそ4km、ゆっくり歩いて一時間半ほどです。全部歩かなくても大丈夫。でも、つい先へ進みたくなります。だって、次の滝はいつも曲がり角のすぐ向こうにあるんですから。名前と評判を持つ滝が五つ。入口近くの静かな不動滝、千手滝、そして高さ三十メートルの布曳滝、岩を抱いて二すじに分かれる荷担滝、いちばん奥の琵琶滝。そのあいだにも、小さな滝が数えきれないほど。苔むした岩、小さな木の橋、ろ過したみたいに澄んだ淵が続きます。

入口のサンショウウオ
歩きはじめる前に、谷の入口にある赤目滝水族館へ。ほんの数分ですが、寄る価値ありです。主役はオオサンショウウオ。生きた特別天然記念物で、体長は一メートルを優に超えることも。平たく広い頭に、濡れた石のような肌。地球でいちばん大きな両生類のなかまで、赤目の澄んだ冷たい川は、今も野生が生きている数少ない場所のひとつなんです。一度まぢかで見ると、そのあとの散歩で川を見る目が変わりますよ。
忍者が修行した谷
この谷が「秘密めいている」のには、わけがあります。何百年もむかし、ここは伊賀流の忍者たちの修行の場でした。冷たい水と長い登りで体を鍛え、森のなかに姿を消す稽古をしたのです。山を越えればそこは伊賀の忍者の町、車で一時間ほど。伝説の町と、その伝説を生んだ風景。この二つは自然と一組になります。
散歩について正直なところ
ここは舗装された遊歩道ではなく、本物の山道です。石段があり、細い岩棚があり、ところどころ鉄の手すり、そして岩が濡れてすべる区間も。サンダルではなく、ちゃんとした歩きやすい靴で。いちばん奥まで往復するなら三〜四時間、荷担滝で折り返すならもう少し短く見ておいてください。雨のあとはすべるところをゆっくりと、そして奥の道は通行止めになることもあるので公式サイトのチェックを。日陰で涼しいとはいえ、山歩きは山歩き。小さな一歩でも、れっきとした山歩きです。
旅に組み込むなら
赤目は、歩き終えると気持ちがすっとリセットされる、そんな半日です。緑で、静かで、来た場所より数度ひんやり。伊賀の忍者のまち歩きと合わせた三重の行程にも、都市と都市のあいだの一息にも、きれいに収まります。いつ旅をされるか、どのくらい歩きたいかを教えてもらえれば、ペースと折り返し地点をそれに合わせて決めます。英語でもベトナム語でも。あとは谷の涼しさが、いちばん大きな仕事をしてくれます。
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見どころ
一度の散歩で五つの名瀑
約4kmの遊歩道が、谷を代表する五つの滝――不動・千手・布曳・荷担・琵琶――を結びます。そのあいだにも小さな滝がいくつも。ずっと川がそばを流れています。
本物のオオサンショウウオに会える
谷の入口の赤目滝水族館には、国の特別天然記念物オオサンショウウオが。体長は一メートルを優に超えることも。赤目の澄んだ川は、今も野生が生きる数少ない場所のひとつです。
伊賀忍者が修行した谷
この奥まった渓谷は、15〜18世紀に伊賀流の忍者が修行と瞑想をした場所。山を越えた先の忍者の町と、自然に組み合わせられます。
暑い日のひんやり
真夏でも谷は日陰で湿っていて、滝のしぶきと流れる水が暑さをやわらげます。日本の八月から逃げ込むなら、この地域でも指折りの場所です。
日本の滝百選のひとつ
赤目は「日本の滝百選」に名を連ねます。支払う渓谷保全料は、谷をきれいに、道を安全に保つことにそのまま使われます。
おすすめのまわり方
- 1
水族館の入口(スタート)
ここで渓谷保全料を払い、赤目滝水族館でオオサンショウウオに会ってから谷を上りはじめます。
- 2
不動滝
五瀑の最初の一つ。歩いてすぐの、静かな水のカーテン。かつては聖域の境を示した滝です。
- 3
千手滝・布曳滝
さらに奥へ進むと、幅広く落ちる滝と、高さ三十メートルの細い一すじ。下流域の見どころです。
- 4
荷担滝
大きな岩を抱くように二すじに分かれる美しい滝。上り一時間半ほどのここで折り返す人も多いです。
- 5
琵琶滝とその先
いちばん奥の滝まで歩けば全長約4km。同じ道を下って戻ります。
ベストシーズン
晩春から初夏は若葉がまぶしく、川は水量たっぷり。真夏は谷の涼しさがいちばんありがたい季節です。紅葉は11月の上旬から中旬が見ごろ。通年で歩けますが冬は時間が短くなります。雨のあとは岩や石段がすべりやすいので、濡れたところはゆっくりと。
行き方
- 近鉄 赤目口駅バスで「赤目滝」まで約10分、そこから谷の入口まで少し歩きます。
- 大阪(難波)近鉄大阪線で赤目口駅まで約1時間。
- 名古屋近鉄で乗り継いで、赤目口駅まで約90分。
ここ、行ってみたいですか?
