
乳岩峡(ちいわきょう)
愛知の東の奥、奥三河の山あいにある涼やかな渓谷。淡い岩肌のあいだを澄んだ水が流れ、少し登った先には天然の岩のアーチが待っています。名古屋から行ける、夏の暑さを逃れる静かな避暑地。ただし足もとは険しめの、正直なハイキングです。
訪問を計画する愛知のいちばん東、奥三河の山あいに、淡い岩肌のあいだを澄んだ水が流れる涼やかな渓谷があります。乳岩峡(ちいわきょう)。街が夏の暑さに沈むころ、人がそっと逃げ込みたくなる場所です。緑が深く、ひんやりと静かで、短いけれど正直な登りの先には、天然の岩のアーチが待っています。
暑い日のための渓谷
名古屋が陽炎に揺れるような日も、この細い谷はひんやりとしています。流れはなめらかな石の上を澄んで走り、岩壁が木陰を抱え、水辺の空気には渓谷の奥でしか味わえない、鉱物めいた涼しさがあります。愛知の静かで野趣のある一面——国の名勝でありながら、いまも地元の人が大切に抱えているような佇まいです。
名の由来となった洞窟
「乳岩」という名は、谷の中心にある洞窟から来ています。長い長い時間をかけて、やわらかな凝灰岩から溶け出した石灰分が、天井に乳房のような鍾乳石をつくりました。その姿が珍しく、地名にまでなったのです。洞窟のなかには小さな観音像がいくつも並び、薄暗がりのなかに、岩にひそむ静かなお堂のような気配が漂います。渓谷一帯は、国の名勝天然記念物として守られています。

通天門、天然のアーチへ
山腹をさらに登ると、通天門にたどり着きます。天然の岩の門、空を切り取るように架かる大きなアーチ。多くの人が、いちばんよく覚えている瞬間です。そこへ至る道は、れっきとした小さな登り。急な石段と、岩に取り付けられた鉄はしごの区間もあり、両手を空けておきたいところ。ゆっくり進めば、見返す渓谷の眺めが、一段ごとのがんばりに応えてくれます。

道について正直に
ここは舗装された遊歩道ではなく、少し汗をかく自然です。中心の周回は、どこまで登るかにもよりますが、おおよそ一時間から二時間ほど。足もとは所々ごつごつしていて、携帯の電波も途切れがちなので、しっかりした靴で、水は自分で持って入ってください。トイレは入口にありますが、コースに入ってしまえば何もありません。ひとつ知っておきたいのは、明神山の頂上まで足を延ばす本格コースは、片道とはいえ往復六時間ほどの本気の登山で、渓谷の周回とはまったく別物だということ。どちらを歩くのかをはっきりさせて出かけてください。

アクセスにも少し下準備が要ります。渓谷を守るため、最後の道路は一般車通行止め。そのため多くの人は、JR飯田線でやって来ます。三河川合駅から登山口まで徒歩およそ25〜30分。あるいは近くの湯谷温泉に車を停めて、ひと区間だけ電車に乗る手もあります。夏の一部の土日祝には無料のシャトルバスが運行されることもありますが、日程は年によって変わるので、出かける前に新城市や奥三河の観光公式情報で確かめておくと安心です。
旅に組み込むなら
乳岩峡は、奥三河の得意なものがそろう一帯の真ん中にあります。すぐ近くには澄んだ宇連川と鳳来峡、小さな湯の里・湯谷温泉、古い山の寺・鳳来寺山。名古屋や豊橋からの、さわやかな夏の一日にぴったりです。通行止めを踏まえたルートの組み立ても、送迎の手配も、英語・ベトナム語のガイドも、グループに合わせた歩く速さも、こちらで整えます。ご希望の日程をお知らせください。一日の道筋を一緒に描きます。
見どころ
天然の岩アーチ・通天門
コースの上のほうに立つ、天然の岩の門「通天門」。空を切り取るその姿は、思わず足を止めてしまう迫力です。
名の由来となった洞窟
凝灰岩から溶け出した石灰分が天井に乳房状の鍾乳石をつくり、それが「乳岩」の名の由来。洞窟のなかには小さな観音像が並んでまつられています。
夏の涼やかな緑陰
街が暑さにあえぐころも、この渓谷はひんやりと涼やか。淡い岩、深い木陰、澄んだ流れが、ほんものの避暑をくれます。
歩きごたえのある道
ここは舗装された散歩道ではなく、れっきとした小さな登り。急な石段や、岩に取り付けられた鉄はしごもあり、両手を空けて、しっかりした靴で。
愛知の静かな一面
奥三河は県の東に広がる、山深く緑ゆたかな一帯。国の名勝でありながら、いまも地元の人の隠れ家のような気配が残り、それでいて名古屋から手の届く距離にあります。
おすすめのまわり方
- 1
登山口
渓谷の入口からスタート(ここにトイレあり。コース内にはありません)。
- 2
渓谷の流れ
澄んだ流れに沿って、涼しい岩陰を上っていく——歩きのいちばんの見どころ。
- 3
乳岩の洞窟
乳房状の鍾乳石と、小さな観音像のまつられた洞窟へ。
- 4
通天門
石段と鉄はしごの急な区間を登り、天然の岩アーチへ。
- 5
周回して戻る(さらに上へも)
一周して下山。明神山まで登る本格コースは丸一日の登山で、渓谷の周回とは別物です。
ベストシーズン
訪れるなら夏。暑い日の緑陰と渓谷の涼しさが何よりのごほうびです。道は所々険しく、石段や鉄はしごもあるので、しっかりした靴と水の用意を。乳岩峡へ向かう最後の道路は一般車通行止めのため、アクセス(鉄道、または夏季の一部日程のシャトルバス)を事前に計画し、最新情報は公式でご確認ください。
行き方
- 三河川合駅(JR飯田線)登山口まで徒歩約25〜30分。
- 湯谷温泉駅(JR飯田線)湯谷温泉の駐車場に停め、飯田線でひと区間。夏の一部の土日祝には無料シャトルバスが運行されることも——公式でご確認を。
- 名古屋から鉄道なら豊橋経由でJR飯田線へ。車の場合は奥三河エリアまで来られますが、渓谷への最後の区間は通行止めで現地に駐車場はありません。
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