
飛騨古川
にぎわう高山から列車で約15分。飛騨古川は、瀬戸川沿いに白壁土蔵が連なり、あたたかな季節には数百匹の鯉が泳ぐ静かな町です。飛騨の匠の木工と古川祭で知られる、飛騨の山あいの落ち着いた一日。
訪問を計画する岐阜の北、飛騨の山あい。高山から列車で少し足をのばした飛騨古川は、ゆっくりとした時間が流れる町です。白壁土蔵のあいだを縫う瀬戸川には澄んだ水が流れ、春から晩秋にかけては数百匹の鯉が、黒い石と白い漆喰を背に色あざやかに泳ぎます。にぎわいは高山へ、同じ路線を十五分ほど北へ行った古川では、飛騨の里がしずかに一日を過ごしています。
暮らしの息づく町
古川はもとは城下町で、いまも見せるための町というより、暮らしの続く町の顔をしています。壱之町とそのまわりの通りには、古い商家や格子の店先、長くつづく造り酒屋が並び、軒先の杉玉がその年の酒を知らせます。鯉が町のリズムを刻みます。瀬戸川を泳ぐのはおおむね4月から11月。それ以外は増島城跡の池に移されて冬を越し、春にまた川へ戻ってきます。川沿いの店では鯉のえさを買え、着物を借りて土蔵のあいだを歩く人の姿もあります。多くの旅人が高山で足をとめるぶん、この通りは最盛期でも静けさを保っています。
古川祭と起し太鼓
その静けさが年に一度だけ破られます。気多若宮神社の春の祭礼、古川祭が4月19日・20日に町をいっぱいにします。19日の夜が起し太鼓。大きな太鼓を高い櫓に据え、さらしを巻いた男たちが大勢で町を担ぎ進み、まわりに小さな太鼓の付け太鼓がぶつかり合います。翌20日には、彫刻をほどこし金で飾り、刺繍を垂らした屋台が、からくり人形を乗せたものもまじえて町を巡ります。起し太鼓と屋台行事は国の重要無形民俗文化財に指定され、ユネスコ無形文化遺産にも登録されています。

その二日に居合わせられなくても、飛騨古川まつり会館では一年じゅう祭りに出会えます。本物の屋台が館内に並び、からくりの実演があり、起し太鼓を試し打ちすることもできます。
飛騨の匠の証し
古川は、古くからその腕を讃えられた飛騨の匠のふるさとのひとつです。かつて飛騨の大工は都へ送られ、寺院や宮殿を建てたと伝わります。その署名は町そのものに彫り込まれています。多くの家の軒下には「雲」と呼ばれる雲形の肘木があり、大工がそれぞれ自分の雲の紋様を彫った、いわば棟梁のサインです。だからこの町には、さまざまな形の雲が並んでいます。その技は飛騨の匠文化館に集められています。釘を一本も使わず、昔ながらの仕口で組まれた建物で、その軒下にも、建てた大工たちの雲の紋様が連なります。
知っておきたいこと
古川は、高山からの半日でめぐるのが気軽です。JR高山本線の普通列車で約15分、特急ひだの一部も停まり、町並みは駅から歩いてすぐ。鯉が川にいるのはおおむね4月から11月、古川祭は4月19日・20日で、その前後の宿はかなり早くから埋まります。まつり会館と匠文化館には休館日があり、冬期は時間も短くなるため、開館時間や料金は出発前に公式でご確認を。アニメ映画『君の名は。』をきっかけに訪れる人もいます。駅や、ほど近い飛騨市図書館はファンに知られた場所で、市の観光案内もそれらをめぐる道筋を示しています。すぐ隣のにぎやかな町なら高山の古い町並み、山あいの茅葺き集落なら白川郷もあわせてどうぞ。
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見どころ
瀬戸川と鯉
白壁土蔵が連なる通りの足もとを、澄んだ水の瀬戸川が流れます。春から晩秋にかけては数百匹の色鮮やかな鯉が泳ぎ、冬の間は増島城跡の池へ移されて越冬し、春にまた川へ戻ってきます。
高山の隣の、静かな町
高山から列車で約15分。それでいて訪れる人はぐっと少なく、商家や格子の店先、造り酒屋がいまも息づく城下町です。見世物のための町ではなく、暮らしの続く町並みです。
飛騨の匠の手仕事
古川は、古くから腕を讃えられた飛騨の匠のふるさとのひとつ。多くの家の軒下には「雲」と呼ばれる雲形の肘木があり、大工が自らの紋様を彫り込んだ、棟梁の署名のようなものです。
古川祭
気多若宮神社の春の祭礼として、毎年4月19日・20日に行われます。夜の町を進む起し太鼓と、彫刻をまとった屋台で名高く、いずれもユネスコ無形文化遺産に登録されています。
一年じゅう出会える祭り
飛騨古川まつり会館では、本物の屋台を館内に展示し、からくり人形の実演や起し太鼓の試し打ちなど、祭りの世界に通年でふれられます。
おすすめのまわり方
- 1
瀬戸川と白壁土蔵街
まずは白壁土蔵と鯉の泳ぐ瀬戸川から。古い町並みの中心です。
- 2
壱之町の商家通り
格子の店先が続く通りを歩き、造り酒屋をのぞいてみます。
- 3
飛騨古川まつり会館
季節を問わず、館内の屋台を眺め、起し太鼓を試し打ち。
- 4
飛騨の匠文化館
釘を一本も使わずに組まれた建物に入り、軒下の雲の紋様を探します。
- 5
高山へ戻る
町並みは駅から歩いてすぐ。約15分の列車で気軽に戻れます。
ベストシーズン
どの季節にも趣がありますが、春はとくべつです。4月ごろ瀬戸川に鯉が戻り、4月19日・20日には古川祭が町をいっぱいにします。鯉が川を泳ぐのはおおむね4月から11月まで。それ以外は増島城跡の池で越冬します。秋には周囲の山が色づきます。祭りの夜は混み合い、宿は早くに埋まるため、早めの計画を。日程や開館時間は出発前に公式でご確認を。
行き方
- 高山JR高山本線の普通列車で飛騨古川駅まで約15分。特急ひだの一部もこの駅まで来ます。町並みは駅から歩いてすぐ。
- 名古屋特急ひだ(高山・富山方面)で飛騨古川まで約2時間40分。または高山で乗り換え、普通列車でひと駅。
- お車高山から北へ約15分。古い町並みの近くに有料駐車場があります。
ここ、行ってみたいですか?
