
木曽路の高み、かつて旧中山道が京と江戸を結んでいたあたりに、ほぼ昔のまま残る二つの宿場町があります。馬籠と妻籠。低い峠を越える森の道でつながり、石を踏み、杉を見上げ、絶え間ない水音とともに二つの町を歩いてめぐる——中部地方でも指折りの、気持ちのよい歩き旅です。
時の流れに、そっと取り残された町
江戸の世、こうした宿場町は内陸の大街道を行く旅人に、食事と休息と替え馬を提供していました。やがて鉄道や近代の道が別の場所を通るようになり、馬籠と妻籠は時代に取り残されます。だからこそ、今に残るのです。どちらも黒い木造の宿や店、軒灯のともる町並みを丁寧に守り続けてきました。とりわけ妻籠は、古い浮世絵にそのまま足を踏み入れたような趣があります。

峠を越える道
この二つを味わう王道は、やはり歩くこと。よく整備された道が馬籠から馬籠峠へとのぼり、杉の森を抜け、小さな滝を過ぎて妻籠へ下っていきます。ゆっくり歩いて数時間、途中には休める茶屋もあります。平坦ではなく峠越えなので、きちんとした靴と水があると安心ですが、特別な体力は要りません。下りになる馬籠から妻籠へ歩き、路線バスで戻る人が多く、賑やかな区間では道沿いに鈴が下がっています——森に「来ましたよ」と知らせる、熊よけの鈴です。

いちばん美しい、新緑のころ
晩春から初夏は、この道を歩くのにすばらしい時季。若葉がもっとも輝き、谷川が豊かに流れます。秋もまた格別で、もみじが谷を赤や金に染めます。緑の季節でも、この高みの空気は涼しく澄んでいます。

道すがらの小さな喜び
楽しみの半分は、細やかなものに宿っています。回る水車、苔むした道しるべ、古い茶屋の一杯のお茶。ぜひ探してほしいのが五平餅。甘辛いたれを塗って焼いた平たいお餅で、ひと歩きしたあとにはことのほかおいしく感じます。

旅に組み込むなら
馬籠と妻籠は、名古屋からの思い出に残る一日になり、木曽路や高山方面への広い旅程ともよく合います。両端の送迎、歩きとバスの時間配分、英語・ベトナム語のガイドはお任せください。峠を歩くより町をのんびり——というご希望なら、やさしい版もご用意します。ご希望の日程に合わせて組み立てます。
見どころ
二つの宿場町
馬籠と妻籠は、江戸期の中山道の宿場町。黒い木造の宿や店が並ぶ古い街並みを、どちらも見事に残しています。
歩いてつなぐ歴史の道
二つの町を結ぶよく整備された森の道が、馬籠峠を越えていきます。日本でも歩きやすく、歩きがいのある旧街道のひとつです。
初夏の新緑
晩春から初夏にかけて、道はみずみずしい新緑に包まれ、若葉と鳥の声、山の水音に満ちます。
石・水・木のたたずまい
石畳の坂、回る水車、深い軒の木造建築。二つの町に、静かで生活感のある美しさが息づいています。
茶屋と土地の味
道中の休み処では、お茶や五平餅(甘辛いたれを塗った焼き餅)など、土地のおやつが待っています。
おすすめのまわり方
- 1
馬籠宿
店や眺めの開ける石畳の坂をのぼります。
- 2
馬籠峠
町から上りきった、道のいちばん高いところへ。
- 3
森の道・男滝女滝
杉木立を下り、男滝・女滝を過ぎていきます。
- 4
妻籠宿
美しく保たれた、平らな妻籠の街並みへ。
- 5
茶屋で一休み
道中、お茶と五平餅で一息つきます。
ベストシーズン
晩春〜初夏は新緑、秋は鮮やかな紅葉。町をつなぐ道はおおむね穏やかですが峠を越えます。きちんとした靴と水を持ち、早めの出発を。バスの時刻は公式情報でご確認ください。
行き方
- 中津川駅(JR中央本線)北恵那バスで馬籠まで約25〜30分。
- 南木曽駅(JR中央本線)バスまたは徒歩で、道の反対側の妻籠へ。
- 名古屋駅JR特急で中津川まで約50分、そこからバス。
ここ、行ってみたいですか?
