
煎茶と抹茶って、何がどう違うの? 実は同じ茶の木からできています
文: Trip Japan YLP 編集部発行:Trip Japan YLP
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こんにちは!
これ、お客さまにお話しするとけっこう驚かれるんです。煎茶と抹茶って、実はまったく同じ茶の木からできているって、ご存じでしたか? チャノキという、たった一種類の木。どこかに秘密のもう一種類が隠れているわけじゃないんです。それなのに、急須に入れる緑の葉っぱと、茶碗でシャカシャカ点てるあざやかな緑の粉。ずいぶん別ものに見えますよね。畑から一杯になるまでのあいだに、いったい何が起きているのか。むずかしい言葉は抜きで、ゆるりとご案内します。

まず、畑で分かれます。カギは「日かげ」
さいしょの分かれ道は、葉を摘むよりずっと前、畑でやってきます。
煎茶の木は、お日さまをたっぷり浴びて育ちます。いっぽう抹茶になる葉は、収穫前のだいたい三〜四週間、おおいをかけて日かげで育てるんです。たったそれだけ? と思いますよね。でも、これがぜんぶを変えてしまいます。
日光をがまんさせられた木は、葉緑素(あの、目が覚めるような濃い緑のもとです)をぐっと増やして、テアニンといううまみ成分をたくさんため込みます。甘くて、じんわりおいしい、あの「うまみ」ですね。そのかわり、渋みや苦みのもとになるカテキンは少なめになります。だから加工する前の時点で、日かげ育ちの葉はもう甘くて、緑が濃くて、まろやか。日なた育ちの煎茶の葉は、あのすっきりした青々しさをしっかり残しているんです。
つくり方も、ぱっきり二手に
摘んだあとは、どちらもさっと蒸して緑を止めます。分かれ道はここから。
煎茶は「揉む」んです。乾かしながら手をかけて、あの細くて濃い、よじれた針のような形にしていきます。淹れるときはお湯に浸して、出てきた液だけをいただく。葉っぱは急須の中に残りますよね。
抹茶の葉は、揉みません。平らなまま乾かして、そこから茎や葉脈をていねいに取りのぞいて、やわらかい葉肉だけにします。これが碾茶(てんちゃ)という、紙みたいにぱりっとした緑の素材。これを石臼で、ゆっくりゆっくり挽いて、きめ細かな粉にしていくんです。この「ゆっくり」が大事で、急ぐと摩擦の熱で色も香りも鈍ってしまう。一時間かけて挽いて、やっと茶碗数杯ぶんくらい。
そしてここがいちばんの肝心なところ。抹茶は、葉を浸して捨てるんじゃなくて、葉っぱそのものを丸ごといただいているんです。
一杯になると。味・カフェイン・淹れ方
煎茶は「淹れる」、抹茶は「点てる」。かたや急須とお湯、かたや茶碗と茶筅で、泡が立つまでシャカシャカとジグザグ。味も違います。煎茶はすっきり、さわやかで、ちょっと青くて、やさしい渋み。抹茶は舌の上がとろりと濃くて、うまみが深くて、ほんのり心地よい苦みがあります。
葉を丸ごと飲む抹茶は、一杯あたりのカフェインも多めです。2026年7月時点のめやすで、抹茶一杯(粉およそ2グラム)でだいたい60〜70ミリグラム、煎茶一杯だと30〜50ミリグラムくらい。ダブルのエスプレッソみたいにガツンとくるほどではありません。それに、あのテアニンがカフェインの角をやわらげてくれるので、抹茶はソワソワしにくいまま目が覚める、という方が多いんですよ。
出番のちがいもおもしろくて、煎茶はふだんの一杯。お昼のあとに一服、お客さまにさっとお出しする、あの気どらないお茶ですね。抹茶はあらたまった茶席のお茶——そして最近は、ラテやソフトクリーム、キットカットのお茶でもあります。同じ木から、まるでふたつの世界。
そもそもお茶がどうやって日本にたどり着いたの、というお話は日本茶の歴史に書きました。よかったらそちらも。次回は、一枚の葉っぱが工場でどう変わっていくのか——摘みたての緑の葉が、あなたの湯呑みのお茶になるまでを、いっしょにのぞいてみましょう。
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