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抹茶って、そもそも何? 世界がハマった緑のお茶を、やさしく解説

文: Trip Japan YLP 編集部発行:Trip Japan YLP

目次

抹茶、いまや世界中どこにでもありますよね。ラテにケーキにアイス、通販ではすぐ売り切れ。でも、おいしそうに飲んでいる人の多くが、「あのカップの緑の粉、そもそも何なの?」をちゃんと聞いたことがない。というわけで今日は、日本でも指おりの抹茶どころのおとなりに住むチームから、やさしく解説してみます。

まず、ほとんど全部を説明してくれる一文から。抹茶は「淹れる」お茶じゃない。「食べる」お茶なんです。

葉っぱを丸ごと飲んでいる

ふつうの緑茶は「浸出(しんしゅつ)」です。葉を湯にひたして、出た液だけを飲んで、葉は捨てる。抹茶はそこを全部すっとばします。葉を乾かして、茎や葉脈を取りのぞいて、残りを石臼で、小麦粉みたいにきめ細かい粉になるまで挽く。その粉を、そのままお湯に点てて、まるごと飲む。

だから抹茶は、あんなに濃くて、鮮やかで、別物なんです。葉を通り抜けたお湯を飲んでいるんじゃなくて、葉っぱそのものを飲んでいる。

煎茶と抹茶がなぜこんなに違うのかを読んでくださった方には、これがもう半分の答え。育て方だけじゃなくて、「出し方」も違う、というお話です。

なぜ、あんなに緑なのか

あの色、着色でも仕掛けでもありません。日かげのおかげなんです。

抹茶になるお茶の木は、収穫の前の数週間、わらや寒冷紗(かんれいしゃ)で覆って、日ざしをさえぎって育てます。すると木は、葉に葉緑素をどっさりため込んで——それであの、うそみたいに深い緑になる——さらにテアニンという、やわらかい甘みのもとになるアミノ酸も増える。強い日光が減るぶん、ふつうの緑茶にある渋みもおさえられる。ざっくり言うと、「日かげ」が抹茶を抹茶の味にしているんですね。この技は京都の宇治のあたりで何百年も磨かれてきました(日本茶の産地めぐりでも触れています)。

「ceremonial」と「culinary」、どっちを買う?

ここ、知っておくとお金も失敗も減ります。

ceremonial(セレモニアル=薄茶・濃茶用)は、いちばん若くてやわらかい葉から作る、お湯だけで点てて飲むためのもの。なめらかで甘くて緑が濃くて、お値段も上。抹茶をそのまま飲みたいなら、こっち。

culinary(クッキング用)は、もっとどっしりして少し苦めで、ぐっと安い。ミルクや砂糖、加熱に負けないように作ってあるので、ラテやお菓子・焼き菓子はこっちが正解。ケーキにセレモニアルを使うのはもったいないし、逆にそのまま一杯点てるのにculinaryを使うと——はい、「抹茶って草の味」の正体はだいたいこれです。用途にグレードを合わせましょう。

おいしい一杯の、ちゃんとした点て方

道具もそんなに要らないし、茶道をする必要もありません。でも、たった2つで味が決まります。

ひとつめ、沸騰したお湯を使わない。やかんを火から下ろして、70〜80度くらいまで落とす。ぐらぐらのお湯をかけると粉が「焦げて」苦くなる——これがいちばん多い失敗です。

ふたつめ、ふるって、点てる。抹茶を小さじ半分くらい、茶こしでこして、だまをなくす。そこに冷ましたお湯をちょっと注いで、茶筅(ちゃせん)でシャカシャカと、ゆっくり混ぜずに「W」か「M」を書くように手早く。15秒もすれば、表面にきめ細かい、翡翠色の泡が立ちます。お湯を少し足して、泡が元気なうちにどうぞ。

抹茶ラテなら、先に少量のお湯で粉をなめらかなペーストにしてから、あたためたミルクを注ぐ。この一手をとばすと、底の緑のかたまりと永遠に格闘することになります。

どこで穫れるのか。そして、ちょっとひいきしたい話

京都のすぐ南、宇治は、上等な抹茶のふるさと。でも、京都まで行かなくてもいいんです。うちの愛知、西尾のまちが、じつは日本屈指の抹茶の産地。しれっと、毎日のラテやお菓子になる粉のかなりの部分をつくっています。中部のお茶どころ——霧のかかる静岡・川根の山のお茶畑も——名古屋からは巡礼というより、ちょっとした小旅行の距離です。

最後に、そっとお伝えしたいこと。抹茶は今や世界のどこでも買えて、それはとても素敵なこと。でも抹茶は、本物の山あいで、本物の家族が世話をして育つもので、葉の育った場所で点てた一杯は、まるきり別の体験です。もし旅で中部を通るなら、ぜひ産地で味わってみてください。

それまでは——お湯は沸騰させない、ふるう、本気で点てる。これだけで、そのへんのカフェより上手になれます。どこかのお茶どころで、お茶碗片手にお会いしましょう。

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