
台風シーズンの日本旅行。予報の見かたと、旅程を止めないための考えかた
文: Trip Japan YLP 編集部発行:Trip Japan YLP
目次
こんにちは!
毎年この時期になると、だいたい同じ内容のメールが届きます。「8月の終わりに予約してるんですが、ニュースで台風という文字を見ました。キャンセルしたほうがいいでしょうか?」
答えはたいてい「いいえ」です。でも、そのあとに続く質問のほうが大事なんですよね。じゃあ実際、何をしておけばいいの? というやつです。
というわけで今日は、私たちがお客さまの予定を急に組み替えてきた経験から、台風シーズンの日本旅行をどう考えているかをお話しします。
台風シーズンは本当にあります。しかも主役は8月と9月
気象庁の平年値(1991〜2020年の30年平均)を見てみると、台風の発生数がいちばん多いのは8月で、約5.7個。9月は発生数だとちょっと減って約5.0個なんですが、日本への上陸数の平年値でいうと9月が約1.0個で、8月の約0.9個を上回ってトップになります。
この上陸数、意外と少なく感じませんか? ひと月に1個くらい。発生した台風の多くは、そもそも日本の近くまで来ないんです。
雨の量にも出ています。私たちの拠点、名古屋の9月の平年降水量は約232mm。梅雨の6月が約187mmですから、それより多いんですね。6月の梅雨より9月のほうが降る、というのはちょっと意外かもしれません。
でもこれ、9月が30日間ずっと雨、という意味ではないんです。おおむね晴れている月に、大きな天気のイベントが1回か2回どんと落ちてくる。それが実態です。
つまりリスクの正体は「旅行が台無しになる」ではなくて、「1日か2日、予定を組み替えることになるかも」くらい。そう思っておくといいです。
出発前に。どこを見ればいいか決めておく
いちばん役に立つ準備は、出発する前に見るべきページをブックマークしておくこと。これに尽きます。朝6時にホテルのロビーで慌てて検索する、という事態を防げますから。
気象庁は英語サイトも用意していて、台風情報のページでは現在の台風、進路予報、それから予報円が見られます。この予報円、けっこう誤解されがちなんです。あれは台風の大きさではありません! 中心が70%の確率で入る範囲、という意味です。3日先の円が大きいのは、台風が巨大化するからではなく、単にまだ予報が定まっていないから。ここ、覚えておくと無駄に不安にならずに済みます。
それから警報・注意報。ここで大事なお知らせがあります。2026年5月29日から、防災気象情報の名前が変わりました! 情報名にレベルの数字が付くようになって、これまでの大雨警報は「レベル3大雨警報」に。さらに、警報と特別警報のあいだに「危険警報」(レベル4)が新設されました。対象は大雨、河川氾濫、土砂災害、高潮です。ぱっと見ただけで「いまどのレベルの行動が求められているか」が分かるようにする、というのが狙いなんですね。
自分で見にいくのが面倒、という方には、日本政府観光局(JNTO)の「Safety tips」アプリがおすすめです。災害情報や気象警報を15言語でプッシュ通知してくれます。ベトナム語も繁体字中国語も入っています。無料ですし、入れるのに2分もかかりません。
実際に近づいてきたら。鉄道はけっこう早く教えてくれます
ここが、初めて日本に来る方にいちばん安心してもらえる部分かもしれません。日本の鉄道は、台風が来てから慌てて発表する、ということをあまりしないんです。
東海道方面に台風が向かっているとき、JR東海はたいてい前日の午後に翌日の運転計画を発表します。「計画運休」になることもありますし、もう少しやわらかく「運転はするけれど、遅れや急な運転見合わせ、行先変更の可能性があります」という形になることもあります。どちらにせよ、ひと晩前には見通しが立つわけです。
英語での確認先もあります。東海道新幹線には英語の運行情報アカウント(X の @JRC_Shinkan_en)があって、同じ内容が流れてきますし、JR東海の運行情報サイトでも最新の状況が見られます。
「計画運休」という言葉、ちょっと物々しく聞こえますよね。でもあれ、システムがちゃんと働いている証拠なんです。あらかじめ決めて止めるからこそ、夜11時に何千人もが行き先の途中で立ち往生する、という事態を避けられる。そう考えると、むしろありがたい仕組みだと思いませんか。
空港も似た動きをします。進路が固まると航空会社はまとめて欠航を決めますし、ANAもJALも、影響が見込まれる路線については手数料なしで変更・払い戻しができる案内を出すのが通例です。欠航が確定する前の段階から受け付けることもあります。ただ、条件は各社が決めるもので、台風ごとに変わります。まとめ記事ではなく、必ず航空会社自身のお知らせを読んでください。この記事も含めて、です!
もし運休になってしまったら
JRに関していえば、決まりは思っているより手厚いです。旅客営業規則では、列車が運休して旅行をとりやめる場合、運賃・料金の全額が無手数料で払いもどしになります。途中で旅行をやめて出発駅に戻る場合も、戻る分は無料で、運賃・料金は全額返ってきます。そして新幹線や特急が到着時刻より2時間以上遅れた場合には、特急料金が全額払いもどしになります。
ただし割引きっぷや企画商品は商品ごとに扱いが違うので、自己判断せずに窓口で聞いてみてください。
航空券のほうは航空会社と運賃種別しだいです。まずは各社の気象関連のお知らせページを確認、が鉄則です。
ひとつだけ、経験から言わせてください。駅にも航空会社にも、早めに動いたほうがいいです。優遇されるからではありません。振替の席には限りがあって、すぐ埋まるからです。前の晩のうちに手を打った人が翌朝の列車に乗っていて、そうでない人が窓口に並んでいる。だいたいそうなります。
折れずに、しなる旅程を
台風シーズンをするりと乗りきる方って、運がいいわけじゃないんです。旅程に「あそび」を残していた方なんですよね。
具体的にいくつか。帰国便の前日にぎりぎりの移動を入れないで、予備日を1日はさむ。1泊ずつの宿を数珠つなぎにするより、動かしやすい形で押さえる。そして、雨でも楽しめる屋内の行き先をいくつか頭に入れておく。これがあると、天気が崩れた日が「失われた1日」ではなく「予定を入れ替えた日」に変わります。
中部はこれがやりやすい地域です。トヨタ博物館は屋根の下で午後まるごと過ごせますし、名古屋港水族館は空模様なんてまったく気にしません。名古屋の街そのものに、荒れた1日をまるごと吸収できるだけの屋内スポットがあります。
あと忘れがちなんですが、この時期はまだ真夏です。台風が来るからといって暑さが引っ込むわけではなくて、むしろ接近前の蒸し暑さはなかなかのものです…。中部の夏をどう乗りきるかに書いたことは、そのまま全部あてはまります。8月中旬にかかる日程ならお盆も別途考えておきたいところ。1年の流れ全体は季節ごとのご案内にまとめてあります。
なお、実際に警報が出ている場面での行動については、この記事の出番ではありません。ご自身のいる場所に警報が出たら、自治体の指示と宿泊先の案内に従ってください。ブログではなく、そちらが正解です。
そのうえで、多くの旅行者が実際に出会う「ふつうの台風シーズン」なら。ブックマークをひとつ、予備日を1日、そして水曜の予定を木曜に回してもいいという気持ち。この3つでほとんど乗りきれます。
ですので、どうぞ予定どおりいらしてください。台風と台風のあいだの9月の日本は、1年でいちばん心地よい季節のひとつですから。
どうぞ、お気をつけて。
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