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玄米茶と抹茶、何が違う? お茶に“ごはん”が入っている理由

文: Trip Japan YLP 編集部発行:Trip Japan YLP

目次

こんにちは!

海外の日本食レストランで、頼んでもいないのに出てくる「green tea」って、ありませんか? 湯気といっしょに、なんだか焼きたてみたいな香ばしい匂いがして、カップの底をのぞくと、ぷっくり膨らんだ白い粒がふわふわ浮いている。あの粒、じつはお米なんです。

そのお茶が玄米茶。英語圏では「popcorn tea(ポップコーン・ティー)」とか「brown rice green tea」なんて呼ばれていて、このあだ名がまた絶妙なんですよね。抹茶が「さあ点てましょう」と構えて向き合うお茶だとしたら、玄米茶は頼まなくてもそばに来てくれるお茶。同じ日本茶の棚の、ちょうど両端にいる二人です。

湯呑みの中に、何が入っているのか

玄米茶は、ふつうの緑茶(番茶か煎茶)に、炒ったお米を混ぜたものです。番茶は少し遅めに摘んだ大きめの葉っぱのこと。蒸して揉む工程は煎茶と同じで、その流れは緑茶ができるまでに書いています。煎茶は、日常の「葉のまま淹れる」お茶ですね。いっぽう抹茶は、覆いをして育てた若い葉を、揉まずに挽いて粉にして、粉ごといただくお茶。ここが全然ちがうんです(煎茶と抹茶の違いで詳しく書いています)。

茶葉とお米の割合は、「おおよそ半々」と言われることが多いです。ただ、商品によってけっこう幅があります。

そして、ポップコーンの正体。お米を炒ると、一部の粒がパンッと弾けて、白くふくらみます。これがそのまま、英語のあだ名の由来というわけです。

ここでひとつ、名前に隠れた小ネタを。「玄米」茶なのに、使われているお米は、じつは玄米じゃないことが多いんです。精米した白米を蒸して炒ったものだったり、もち米だったり。理由は、皮つきの本物の玄米だと、焦げやすくて、香りが強すぎてお茶を押しのけてしまうから、と説明されることが多いです。名前と中身がちょっとズレている…(お茶の世界には、そういうの、結構あります)。

ちなみに由来ですが、はっきりした記録はないようです。よく語られるのは、京都のお茶屋さんが、鏡開きで割れた鏡餅のかけらを炒ってお茶に混ぜたのがはじまり、という話。昔話として、楽しく聞いておくのがちょうどいいと思います。

なんで焼き餅みたいな、いい匂いがするの?

匂いのもとは、お米です。炒ったお米の表面が熱で香ばしくなる、焼き菓子やおこげと同じタイプの香りなんです。葉っぱのほうは焙じていないので、お茶の部分は緑のまま。淹れると、淡い黄色〜黄緑色になって、抹茶の深い緑に比べると、ずっとやさしい見た目です。初めて飲むと、たいていの人が「あ、お米の匂い…!」と感じると思います。

そう、前に書いたほうじ茶と抹茶の違いと、じつは兄弟なんです。どちらも「火」の香り。違いは一つだけ、葉っぱを焙じるか、お米を炒るか。ほうじ茶は葉を焙じるから茶色くなる。玄米茶は米を炒って混ぜるから、葉は緑のまま。(ほうじ茶をベースにした玄米茶もあって、そこは二つのいいとこ取りです。)

カフェインと値段の、正直なところ

カフェインについては、数字ではなく理屈でしか言えないので、ここでは数字は出しません。よく言われる理屈は単純で、湯呑みの中身のおよそ半分がお米なので、茶葉の量(かさ)としては少なめ。だから、玄米茶は軽めと言われています。抹茶は、葉っぱを粉ごと飲むので、そもそも土俵が違うんです。体にいい悪いの話ではなく、要は、カップの中身の算数の話です。

値段も同じ流れで考えられます。玄米茶は、ふつうの葉っぱをベースにしているので、日本茶の中では手頃な部類。抹茶は反対の端で、覆いをして育てて、挽いて、と手間がかかるお茶です。

両端が、一袋の中で出会う

さて、ここからがいちばん好きなところ。日本では、一番ふだんのお茶と、一番よそゆきのお茶が、同じ袋に入っているんです。

それが「抹茶入り玄米茶」。玄米茶に、抹茶の粉をまぶしたもの。淹れるとお茶の色がぐっと鮮やかな緑になって、香ばしいお米の匂いに、抹茶のコクがちょっと乗ってきます。日本のお店では、ごく普通の商品として並んでいます。抹茶の粉の側の話が気になったら、抹茶とは何かも読んでみてください。もしかすると、抹茶がいちばん気取らずにいる姿かもしれません。

日本のどこで出会う? 家ではどう淹れる?

日本では、玄米茶にはいろんなところで出会います。ホテルの客室に置いてあるティーバッグ。コンビニのペットボトルや粉末スティック。和食店の食後に出てくる一杯。海外では、日本食レストランで「green tea」と言われて出てくるのが、これだったりします。

淹れ方はとても簡単です。熱めのお湯(ほぼ沸騰、95℃くらいが目安)で、30秒〜1分くらい。長く置きすぎると渋みが出てしまいます。失敗しにくいんです。それに、緑茶の青っぽさがちょっと苦手という友だちにも、香ばしいので渡しやすいお茶。カップに浮かぶ白い粒が、話のきっかけにもなります。

家で遊ぶのもアリ。煎茶に炒ったお米を混ぜてみるんです。まずは、お茶一さじに炒り米一さじくらいから(レシピによって幅があります)。それに、秋は日本中で新米の季節。お茶にお米が入っている話は、9月、10月にぴったりです。

最後にひとつ、番茶がどこにいるのかについて。静岡の川根のような、大井川の上流にあるお茶どころでは、店先に並ぶ煎茶になるのは大事に摘んだ新しい葉。そのあとに摘む、少し素朴な葉が、農家の台所のふだんの急須に入る、と言われています。玄米茶は、その台所側の飲み方。炒ったお米を混ぜて、ほっとする家の味にするんです。日本のほかのお茶どころも気になったら、日本のお茶どころの記事もどうぞ。

次に、カップの底に白いお米の粒が浮かんでいたら、それは日本でいちばんふだんのお茶。抹茶の茶碗からは、ずいぶん遠いところにいます。そして袋に「抹茶入り」と書いてあったら…そう、両方ともあなたの手の中です。

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